拍手SS013 あきら様×白石ぬくもり五題あと五分×何回?

彼女はまた、空をみた。
灰色の空は、彼女の心情を表しているかのようだ。
さっきから全く晴れないのは、空の色か、それとも彼女の気持ちなのか。

ぶる、と彼女の手の中の携帯が震える。
彼女は慌てて携帯を開き、発信者を確認する。

ふぅ、と息をつき、思いっきり吸う。
通話ボタンを押し、


「しぃぃらぁぁぁいしぃぃぃ!!!!!!!!!!」


絶叫。


これが局の屋上だからまだ良いものの、街中だったら相当迷惑だろう。

「…あ…あきら様……すいませんっ」
「すいませんもなにもないわよ!あんた!なにしてんのよ!」
「えっと、学校が…なかなか終わらなくて、その」
「そんなの早退して来ればいいじゃないのよ!」
「そんなわけにはいきませんよ…出席、これでもやばいんですから…」
「むぅ…」

彼女の不満そうな声が聞こえて、
白石はあわてる。

「大丈夫です、あとちょっとでつきますから!」
「あと何分?」
「あと…5分くらい…」

「なんか、それ前も聞いたよ?」
「え?」

彼女は気づいていた。
彼が、言い訳するときに使う、その言葉を。

「ねぇ、


あと五分×何回?で、本当に会える?」