あきしらSS「願ってもない、願い事」

今日は番組の収録でとあるお祭りの会場にきている。
ささのはさらさら、
ということで「たなばたまつり」の状況を伝えるために、ここにいる。


あたしはもちろん浴衣。
あたりまえじゃない?お祭りといえば、定番でしょ?
髪をちょっと上げるのには苦労したけれど、
ひまわりのでとめてるの、似合うでしょ?


…残念ながらあたし一人じゃないの。
実は白石も一緒なのよね。
取材なんてあたし一人にやらせておけばいいのにね。



それにしても、人が多くて参っちゃうわ…
暑いし、なんなのかしら。
浴衣って風情あっていいんだけど、あれよね、
苦しいし、歩きづらいし。
普通に洋服のほうがいいって、今までになんか思ったことか。


ちなみに白石も浴衣よ。
それだけは言っておくわ。


似合ってるかって?
正直微妙よ。



って、はぐれた!
あれっ?!みんなどこいった?!

どうしよ、携帯もマネージャーに預けちゃったし…
あぁぁぁぁどうしよ…




「あきらさまー?いた、あきらさまー!」




遠くから、いつもの声が聞こえた。
…別に!迷ったわけじゃないんだから!

あいつはあたしに駆け寄ってきて、
ふう、と胸をなでおろした。


「あきら様、もー、どこにいったかと思いましたよ!」
「べつにっ!るっさいわねー!」


つかつかと歩こうとしたら、
石に躓いてバランスを崩した。


「あ、ぶなっ…?」

あたしは、
白石の胸に飛び込む形になっていたことに気づいた。
堕ちないようになのか、
ものすごく力強く抱きしめてくれている白石に、
あたしは何もいえなかった。


こいつは、こんなに頼りになる奴だったっけ。
こいつの体は、こんなに大きかったっけ?


「もー、だめですよ、いつもと違う格好なんですから、無茶しないでくださいね…?」

よしよし、と何故か白石はあたしの頭を撫でる。
ってか、離してよ。


「あ、あと、なかなか言えなかったですが、」
「なーによ」

白石はくすり、と笑ってもう一回あたしを抱きしめた。


「すごく、可愛くて、似合っていますよ、あきら様…」