拍手限定SS019 あきら様×白石 雨雲はさようなら

あーあ、雨ふりそうだぁ…

隣で彼女が不満そうに呟いた。
僕は聞こえないふりをする。

「ね、白石のおうち、寄ってっていい?」
「ダメですっ」
「なんで?!」
「ダメなものはダメですっ!」

けちー、と彼女は唇を尖らせて怒る。
怒ったってダメです、いれてあげません。

「なんでよ、どうせなんにもないんでしょ?」
「ないからと言って勝手にばら蒔くのは止めて頂きたいのですよ。」

そう、前に家に上げたとき、僕が買い物に行ってるときに、
彼女はあちこちの引き出しを開けていたのだ。
しかも中身をばら蒔いていたのには参った。
ってか、僕が、駄目になりそうだから、駄目です。

「だってー、何にもないんだもん…」
「すいませんね、また何も無いですよ?」

でもね、
と彼女は付け足した。

「白石のおうち、好きだよ。」
「え?」
「なんかさ、好きな人のおうちって、落ち着くじゃん?」

な、なんてことを言うんですか貴方は!!!
だめだ、抱きしめたくなる!
なに言ってるんですか貴方って子は!
そんな公言しちゃ駄目です!
今なんていいましたかあきら様、
好きな人って、
好きな人って!!!
言ったでしょ、言っちゃったでしょ!!!

「白石?どうしたの?」

なんでもないです、といおうとしたら、
顔が赤いのがばれた。

「あ、照れてる!気持ち悪い!」
「何ですかそれっ!」

顔を赤くして損したかな…
ってか、恥ずかしいですよ、あきら様…!

あ、という声が聞こえた。
彼女は空を見上げている。
僕もそれに習う。

「雨雲はさようなら。太陽さんこんにちは!」
「え?」
「晴れてきちゃった…よ?」
「じゃ、じゃぁ帰りましょ?ね?」

これは好都合だ、
帰ってもらう口実が、ってあれ?
あきら様どこいった?

「鍵もらうね!先あけて待ってるから♪」
「…ってあれ?いつの間にー?!」

何枚か、彼女のほうが上手のようだった…
って、待ってくださいよあきら様ー!!