不幸を不幸じゃないものにするには。(あきしらSS)


例えば、
その日が不幸だとしても
その次の日がそうじゃなかったら、
それでいい、プラマイ0、だ。



僕の考え方はそれだ。
それ以外の何でもない。



しかし、
今日という日ばかりは、そうも行かなかった。
昨日も今日も、良くないことばかり。
このまま不幸街道を突っ走れ、とでも言うのだろうか。



「どしたの?」
「……あきら様?」
「顔、変だよ?」
「……元々です。」



1週間ぶりに
彼女の顔を見ることができた。
相変わらず彼女は忙しいアイドル生活。
そして僕は相変わらず、



「好きな人でもできたの?」
「……さぁ。」



彼女に気持ちを伝えられないままで。
彼女のアシスタントのままでいる。



ふと顔をあげると、あきら様と目があった。
そのまま見ていたら、
彼女の顔が赤くなっていった。
さて、何か変なことでもしたかな?



訂正。
例えば、その日が不幸だとしても、
少しのことで誰かが笑顔をくれたら。
少しずつそれがどうにでも思えてくるのかもしれない。



例えば、
大好きな彼女の顔が見られただけで、
些細なことがどうでもよくなる、とか。
例えばの、話だ。



「何笑ってんの?」
「いや、あきら様が可愛くて、つい。」
「…うそっぽい」
「本当のことです!」